【小説】超・殺人事件  ~推理作家の苦悩~

小説を書くにあたっての苦労話を、作家目線、あるいは編集者目線で、大袈裟に面白おかしく描いた短編集。

◆超税金対策殺人事件
◆超理系殺人事件
◆超犯人当て殺人事件(問題篇・解決篇)
◆超高齢化社会殺人事件
◆超予告小説殺人事件
◆超長編小説殺人事件
◆魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚)
◆超読書機械殺人事件

の全八話収録。

画像


以下、重大なネタバレを含みますのでご注意ください。





今回はこの中からオススメのお話、超高齢化社会殺人事件をご紹介します。

御歳90を迎える長寿作家の藪島清彦はミステリ作品の【雪の山荘資産家令嬢密室殺人事件】を執筆中。

しかしその高齢ゆえ、認知症の影響が作品にみられ、出来上がった原稿は矛盾だらけ。

その度に藪島の機嫌を損ねないよう気を遣いながらも、推理小説として出版できる程度の改稿に翻弄されるは担当編集者の小谷健夫。

その矛盾たるや、家政婦が普通にドアを開けて死体を発見したにも関わらず密室殺人と断定してしまったり。

山林で死体が発見されたにもかかわらず密室殺人と断定してしまったり。

殺害されたはずの被害者が容疑者のアリバイ証明をしたり。

あげくに真犯人の名は明かしても、トリックや動機の解明が一切抜けたエンディング。

そして今回もまた、独自の編集力で無難なカタチにまとめた小谷は、社で編集者たちへ愚痴をこぼす。

「まったくまいっちゃったよ。まぁあの人の原稿を受け取るのも、これが最後だな」

しかし他の編集者たちに言わせれば、藪島の原稿を改稿した後の小谷は、いつもこの同じセリフを言う。

そして書き足したトリックも動機もいつも同一で、前回の藪島作品【嵐の孤島天才歌姫密室殺人事件】とは舞台と登場人物が違うだけ。

そう、小谷健夫もまた70歳を過ぎた高齢編集者で、藪島同様にボケはじめていたというオチ。



「ギャグの基本は繰り返し」だと思うRockyにとって、笑いのツボをガシガシ押される作品でした。

本当に面白い話を読んでる時って、三行先ぐらいまでが自然と視界に入ってしまうんですよね。

で、次の展開が分かっちゃったりして残念なんですが、それでもその先読み部分で笑ってしまいます。

アンフェアと言えばアンフェアな作品。

これはドラマ化できませんね。





次点としては超長編小説殺人事件がオススメです。

史上最長の長編小説を出版するにあたり、ライバルの出版社に差をつける為、あの手この手で内容の水増しを作家に指示する編集者の話。

エスカレートするにつれ、長編小説の範疇から大きく外れて発売された本の容貌たるや…



昔、カートゥーンネットワークのCMで

やり過ぎぐらいが丁度いい。

なんてキャッチコピーがありましたが、この物語はまさにそれですね。













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